残業代請求対応・予防

Q 中小事業主も、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上としなければならなくなると聞きました。詳しく教えてください。

A 労働基準法37条1項は、長時間労働を抑制する目的で、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は5割以上としなければならないと定めています。

もっとも、中小事業主は猶予措置が取られております。

この猶予措置は、令和5年4月1日に廃止されますので、それ以降は、中小事業主も、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上としなければならなくなります。

ここでいう中小事業主とは、資本金の額または出資の総額が3億円(小売業またはサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主およびその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業またはサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいいます(下記表を参照)。

なお、猶予措置期間中であっても、この中小事業主の定義から外れてしまった場合には、その時点で猶予措置の対象から外れますので、割増賃金率を5割以上としなければならなくなります。

 

■中小事業主(①または②のいずれかを満たすもの)

業 種

①  資本金の額または

出資の総額

②  常時使用する

従業員の数

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

(サービス業、医療・福祉等)

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他の業種

(製造業、建設業、運輸業等の上記以外全て)

3億円以下

300人以下

 

 

Q 長年にわたって残業代の一部が支払われていないことが判明しました。消滅時効期間が経過している未払い残業代は、請求されることはないと考えていいでしょうか。

A 未払い残業代は、雇用契約に基づく賃金債権として請求されることが一般的です。

賃金債権の消滅時効は、令和2年4月以前に発生したものは2年間、それ以降に発生したものは3年間となっています。

そして、消滅時効期間が経過した未払い残業代については、時効援用により消滅します。

しかし、この消滅時効を避けるため、未払い残業代を不法行為に基づく損害賠償として請求されることがあります。

これについて、賃金の未払いが直ちに不法行為となるのではなく、使用者が賃金の支払い義務を認識しながら労働者による賃金請求が行われるための制度を全く整えなかったり、賃金発生後にその権利行使を殊更妨害したりしたなどの特段の事情が認められる場合に限り、不法行為となるとした裁判例があります(東京地判令和3年8月20日)。

そのため、残業代に未払いが発覚した場合、直ちに不法行為となるわけではありませんが、悪質なケースでは不法行為となる場合があります。

そして、不法行為の消滅時効は、損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間ですので、賃金債権の消滅時効期間が経過している場合でも請求される可能性が残ってしまいます。

また、従業員が損害を知らない、つまり、残業代を請求できることを知らない限り、3年の時効期間はスタートしませんので、不法行為に基づく損害賠償請求権は短期の消滅時効にかかりません。

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