株主総会議事録への署名拒否と登記申請

Q 経営権争いのために取締役の間に対立があり、株主総会決議の内容に不満があるとして、一部の取締役が株主総会議事録への署名を拒否しました。株主総会決議は無効となってしまうのでしょうか?また、登記はできるのでしょうか?

株主総会議事録に一部の取締役の署名または記名押印(以下、「署名等」といいます。)が得られないのは、経営権争いに限られません。取締役が株主総会の直後に死亡した場合事故により長期間意識が回復しない場合長期間の海外出張に行ってしまった場合等にも、署名等が得られないことがあります。

このような場合でも、議事録に取締役の署名等がないという理由で、株主総会決議が無効にはなりません

そもそも、議事録の作成は、株主総会の決議の内容を保全するためのものであり、株主総会の決議の要件ではありません。旧商法では、議長と出席した取締役は株主総会議事録に署名または記名押印しなければならないとされていましたが、現在の会社法ではそのような定めはありません。会社法では、株主総会の議事録を作成しなければならないとだけ定められており、署名等は求められておりません(会社法318条1項、同法施行規則72条)。なお、株主総会とは異なり、取締役会の議事録には出席した取締役と監査役が署名等しなければならないとされておりますので、混同しないようご注意ください(会社法369条3項)。

以上のことから、議事録に一部の取締役が署名等しない場合でも、株主総会決議は有効です。

もっとも、定款において、株主総会議事録には議長と出席した取締役が署名等しなければならないと定めている会社も多いと思います。これは、株主総会決議や議事録の内容を担保するために行っているものです。

このような定款の会社において、一部の取締役が議事録への署名等を拒否した場合に、株主総会議事録が登記申請の添付書類とされている事項について登記申請ができるのかが問題となります(商業登記法46条2項参照)。

詳細については、登記申請業務を専門に行う司法書士等にご確認いただく必要がありますが、一部の取締役が署名等を拒否している場合でも、登記申請を受理してもらえることがあります。具体的には、死亡その他やむを得ない事由により署名できない取締役がいる場合で、これを証明する書面を添付したときとされています。そのため、経営権争いにより一部の取締役が署名等を拒否する場合であっても、署名等を拒否している取締役の氏名署名等をしない理由を議事録に付記することで、登記申請を受理してもらえることになります。なお、この点については、「出席取締役の総会議事録への署名拒否と登記申請」藤島紀子(旬刊商事法務1056号40頁)が詳しく解説しております。より深く確認したい方は是非お読みください。

経営権争いが生じてしまった場合には、通常の会社運営では当たり前に行っていたことでも注意しなければならないことがあります。後から問題とされてしまい、最悪の場合経営権を失ってしまう可能性もあります。それを避けるためには、一つ一つの手続きを確認して、確実に進めていくことが必要です。

当事務所は、経営権問題に関する事案の対応について、経験数が非常に豊富です。多種多様な個性ある案件を多数解決してきました。大切な会社や従業員を守るために、当事務所もサポートいたします。

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