会社のレピュテーションリスクの観点から、私生活上の非行を懲戒処分の対象とすることについて、問題はありますか?
懲戒権は、企業の存立と事業の円滑な運営のために会社に認められているものですので、従業員の私生活は対象とならないのが原則です。
しかし、従業員の私生活上の行動が、会社の事業活動の遂行に直接関連したり、社会的評価を低下させたりすることがあります。
このような場合には、従業員の私生活上の行動も、懲戒処分の対象となる場合があります。
例えば、運送業者の従業員が酒気帯び運転により刑事罰を受けた場合や、鉄道会社の従業員が電車内で痴漢行為を行い刑事罰を受けた場合などは、いずれも私生活上の行動であっても懲戒処分の対象となり得ます。
また、SNSへの投稿も、勤務時間外に個人アカウントでされたものは私生活上の行動ですが、会社の社会的評価を低下させるようなものについては、懲戒処分の対象となり得ます。
もっとも、私生活上の行動については、従業員のプライバシーの範囲でもありますので、懲戒事由に該当するか否かや、懲戒処分が相当か否かを慎重に判断しなければならないことにご注意ください。