著作権とは?著作権の基本事項をQ&Aで確認

【目次】
Q1 著作権とは?
Q2 著作権の種類は?
Q3 著作権の保護期間は?
Q4 著作物とは?
Q5 著作権が制限される場合とは?
Q6 職務著作とは?
Q7 著作権侵害の要件とは?
Q8 著作権侵害への対応方法とは?

Q1 著作権とは?

著作権とは、著作権法により著作者に与えられる、著作物の利用や管理に関する権利のことをいいます。

他の特許権や商標権、意匠権等とは異なり、著作物を創作した著作者が著作権を取得するための手続きは必要ありません。著作物を創作したときに自動的に著作権が発生します。

なお、著作権法では登録制度を定めていますが、この登録制度は著作物を最初に公表した年月日を公示したり、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するための制度ですので、登録していなくても著作権は有効に発生します。    

著作権登録制度をお知りになりたい方は、文化庁のサイトをご覧ください。

また、「©」や「Copyright」という表示がなされていることがあります。

これらは、著作権マークまたはコピーライトマークシーマークなどと呼ばれ、著作権を保有していることを表しています。

もっとも、著作権法上は、著作権マークなどの表示がなくても著作権は発生しており、また、著作権が放棄されているわけでもありません。そのため、著作権マークなどの表示がないからといって、著作権が発生していないと判断することはできません。

他方で、著作権マークなどを明記することによって、著作権を保有していることを表示することができ、安易な無断複製等を防止することが期待できます。そのため、著作権マークなどを表示することには、一定の意味があります。

Q2 著作権の種類は?

著作権には、著作財産権著作者人格権の2種類あります。

著作財産権は他人に譲渡したり、相続が発生したりして第三者に移転しますが、著作者人格権は著作物を創作した者のみが持つことができ、第三者に移転させることはできません(著作権法第59条)。

著作財産権は、以下の10の権利を内容としています。

複製権著作物を印刷、複写、録音、録画等の方法により有形的に再製する権利著作権法第21条
上演権・演奏権著作物を公に上演したり、演奏したりする権利第22条
上映権著作物を公に上映する権利第22条の2
公衆送信権著作物を公衆送信(放送等)する権利第23条
口述権言語の著作物を公に口述する権利第24条
展示権美術の著作物や未発行の写真の著作物の原作品を公に展示する権利第25条
頒布権映画の著作物の複製物を頒布する権利第26条
譲渡権映画以外の著作物の原作品又は複製物を公衆に譲渡する権利第26条の2
貸与権映画以外の著作物の複製物を公衆に貸与する権利第26条の3
翻案権著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化等の翻案する権利第27条

著作者人格権は、以下の3つの権利を内容としています。

公表権公表されていない著作物について、公表するか否か、公表する場合にはいつ、どのような方法で公表するかを決定する権利著作権法第18条1項
氏名表示権著作物を公表するときに、著作者の氏名を表示するか否か、表示する場合の氏名を決定する権利第19条1項
同一性保持権著作物の内容を勝手に変えられない権利第20条1項

Q3 著作権の保護期間は?

著作権によって著作者や著作物が保護されることになりますが、著作権が永久に存在するわけではありません。

著作権法では、一定期間を経過した後は著作権を消滅させて、著作物を社会全体の共有物として誰でも自由に利用することができることとしています。

これは、「パブリック・ドメイン」と呼ばれています。

著作権法は、原則として著作者の死後70年を経過するまでの期間を保護期間と定めています。

他方、例外として、無名・変名の著作物や法人等の団体名義の著作物、映画の著作物は公表後70年を保護期間と定めています。

Q4 著作物とは?

著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法第2条1項1号)。

このような定義から、著作物の要件は、①表現性があること、②創作性があること、③文芸、学術、芸術又は音楽の範囲に属するものであること、の3つとされています。

著作権法が例示として挙げているものは、以下のとおりです。

小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物著作権法第10条1項1号
音楽の著作物第10条1項2号
舞踊または無言劇の著作物第10条1項3号
絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物第10条1項4号
建築の著作物第10条1項5号
地図または学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物第10条1項6号
映画の著作物第10条1項7号
写真の著作物第10条1項8号
プログラムの著作物第10条1項9号

なお、著作権法が挙げている例示に該当しないものであっても、著作物の定義(著作権法第2条1項1号)の要件(前記3要件)を満たしていれば、著作物に該当します。

Q5 著作権が制限される場合とは?

他人の著作物を利用する場合には、著作者から許可(利用許諾、ライセンス付与)を得なければなりません。

もし仮に、許可を得ずに利用してしまえば、著作権侵害となってしまう可能性があります(著作権侵害については下記Q7及びQ8をご覧ください。)。

しかし、著作権法は、一定の場合には著作者の許可を得ずに著作物を自由に利用することができると定めています(権利制限規定といいます。)。

例えば、家族内で使用することを目的として複製する場合(私的使用のための複製)や図書館等における複製等は、著作者の許可を得ずに自由に行うことができます。

また、公表された著作物を、公正な慣行に合致する方法により、報道、批判、研究等引用の目的上正当な範囲内で行う場合には、「引用」して利用することができます。    判例は、適法な「引用」の基準として、明瞭区別性と主従関係(附従性または従属性)をメルクマールとしています(最判昭和55年3月28日判時967号45頁 (モンタージュ写真事件第一次上告審判決))。

そのため、他人の著作物を引用する場合には、かっこで囲んだり、引用元を明示したりして引用部分が他の部分と明瞭に区別して認識できるようにし、かつ、分量を抑えるなどして従たる関係に留める必要があります。

なお、要約して引用する際には、要約の内容が忠実でないと同一性保持権(著作者人格権の一つ)侵害となってしまう可能性があるため、可能な限り要約せずに引用することをお勧めします。

また、著作物の中には、「禁引用」などと引用を禁止している表記がされているものを見ることがあります。しかし、引用は著作権法で認められている制度ですので、著作者であったとしても、契約関係にない第三者に対して引用を禁止することはできません。

Q6 職務著作とは?

著作権は著作物を創作した者(著作者)に与えられます。

事実行為として著作物を創作することができるのは「人間(自然人)」のみですので、著作権は個々の人に与えられます。

もっとも、法人等の発意に基づき、法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するものについては、契約や就業規則等に別段の定めがない限り、法人等が著作者となります。

このことを、「職務著作」といいます(著作権法第15条1項)。

職務著作の制度は、業務を行う従業員が著作者になると権利関係が複雑化してしまうことから、権利関係を法人(会社)に一元化するためのものです。

Q7 著作権侵害の要件とは?

著作権が侵害された場合、著作者は侵害者に対して差止めなどを請求することができます(請求できる内容については、下記Q8をご覧ください。)。

ここでいう著作権の侵害が認められるためには、①著作物に依拠したこと(依拠性)、②著作物と同一性または類似性があること、③法定の利用行為(複製、改変、翻案など)を行ったこと、の3要件を満たす必要があります。

特に①依拠性は、著作権には登録制度があるものの、全ての著作権が登録されているわけではなく、創作した物が偶然に第三者の著作物と同一性または類似性を有してしまう可能性があることから要求される要件です。

もっとも、①依拠性は、侵害者側に関する事情であり、直接証明することが難しく、著作者が差止め等の請求を行う際には、特に慎重な検討が必要となります。

Q8 著作権侵害への対応方法とは?

著作権が侵害された場合、著作者は、侵害者に対し、以下の請求を行うことができます。

侵害行為の差止請求著作権法第112条1項
組成物の廃棄等請求著作権法第112条2項
損害賠償請求民法第709条
名誉回復請求(謝罪広告など)著作権法第115条

著作権を侵害した者については、上記の民事責任とは別に、刑事責任も問われる可能性があります。

著作財産権を侵害した場合には10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金が(著作権法第119条1項)、著作者人格権を侵害した場合には5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が(著作権法第119条2項)、それぞれ課されることになります。

そのため、著作権を侵害された著作者は、告訴することができます。

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