団体交渉の誠実交渉義務とは?山形大学事件の判例を紹介

Q 団体交渉の誠実交渉義務について判断した山形大学事件の判決を教えてください。

山形大学事件は、使用者である大学の団体交渉における対応が、不当労働行為に当たる旨の申立てを受けた労働委員会が出した救済命令について、大学が取消しを求めた行政訴訟です。

この裁判では、団体交渉事項が合意の見込みがない場合において、誠実交渉義務違反を理由に労働委員会が誠実交渉命令を発することができるか否かが争点となりました。

最高裁判所は、結論として、「使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、労働委員会は、誠実交渉命令を発することができる」と判断しました(最判令和4年3月18日)。

その理由は、合意の成立する見込みがない場合であっても、使用者が誠実に団体交渉に応じれば、労働組合は使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができたり、労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られたりすることから、救済命令をすることは労働委員会の裁量権の範囲内であって適法であるというところにあります。

判決内容の詳細は、こちらをご確認ください。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/291/091291_hanrei.pdf

なお、最高裁判所は、審理を仙台高等裁判所に差し戻しており、最終的な決着はついておりませんが、注目すべき判決ですので、紹介します。

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