新型コロナウイルスに関連する労務問題Q&A②

< 参考文献>

文中に挙げたものの他、

日弁連中小企業法律支援センター「新型コロナウイルスに関連する法律相談Q&A」(2020年4月28日更新版)2~7頁のQ2-1からQ2-9

安全配慮義務

前提

労働者は、使用者から指定された場所に配置され、使用者の提供する設備、器具等を用いて労働に従事することが一般的ですから、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものと解されています(最高裁昭和50年2月25日(陸上自衛隊事件)、最高裁昭和59年4月10日判決(川義事件))。

それを明文化したものが次の条文です。

労働契約法5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

「必要な配慮」の内容は、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められます(労務行政研究所編『実務コンメンタール 労働基準法 労働契約法』579頁)。

【Q1】 使用者が新型コロナウイルス感染症対策を講じなかったために従業員が感染した場合

わが社では、新型コロナウイルス感染症対策を特に講じていなかったところ、従業員が感染してしまいました。使用者は安全配慮義務違反を負いますか?

【A1】

新型コロナウイルス感染症対策を講じなかったことと従業員の感染に相当因果関係が認められれば、安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。

【Q2】 感染した従業員が自宅勤務したいと申し出た場合

従業員が新型コロナウイルスに感染したため、出社を禁じたところ、体調は悪くないので、自宅勤務をしたいとの申し出がありました。本人が大丈夫だと言っているので、自宅で可能な業務をさせても問題ないでしょうか?

【A2】

自宅で可能な業務を命じた後、症状が悪化した場合には、使用者として必要な安全配慮を尽くしていないと判断される可能性がありますので、慎重な検討が必要です。

吉田総合法律事務所について

当事務所は、お客様の事業規模、社内体制、主要取引先、業界事情、関係者皆様の諸事情までも詳しくお聞きし、一般的な労働法リスクだけでなく、お客様固有事情に起因する労働法リスク、顕在化していないが解決すべき労働法リスク等への対処法を検討し、お客様の短期的利益、中期的利益だけでなく、永続的長期的繁栄のための提言も含めて、可能な限りお客様の危機回避と力強い繁栄に貢献するための諸活動をさせていただくつもりでおります。

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