<参考文献>
文中に挙げたものの他、
日弁連中小企業法律支援センター「新型コロナウイルスに関連する法律相談Q&A」(2020年4月28日更新版)2~7頁のQ2-1からQ2-9
採用内定者の内定取消し
【Q1】採用内定者の内定取消し
今回の新型コロナウイルス騒動のため、売上が相当落ち込み、事業規模の縮小も検討せざるを得ない状況です。そのような状況に鑑みて、4月に入社予定の採用内定者について、採用内定を取り消したいのですが、採用内定取消しを適法に行うことは可能でしょうか?
【A1】
最高裁昭和54年7月20日判決(大日本印刷事件)は、採用内定の法的性質について、就労の始期付解約権留保付労働契約が成立したものと判断し、採用の内定の取消し(留保解約権の行使)については、「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」と判示しています。
また、東京地判平成9年10月31日判決(インフォミックス事件)は、「企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使(採用内定取消)をする場合には、いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する…4要素を総合考慮の上、解約留保権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべき」としました。
整理解雇の有効性の判断に関する4要素とは、以下の要素です。
- 人員削減の必要性
- 解雇回避措置の相当性
- 人選の合理性
- 手続の相当性
解約権行使が適法か否かに関する裁判所の判断は、概して使用者に厳しい傾向にありますから、慎重な判断が必要です。
吉田総合法律事務所について
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