【目次】 1 大企業より中小企業の方がフリーランス法違反のリスクが高い!? 2 取引の流れからみたフリーランス法の全体像 3 フリーランス法への対応はどうしたら良いか?最初に行うこととは何か? 4 お困りの中小企業は吉田総合法律事務所へご相談ください! |
1 大企業より中小企業の方がフリーランス法違反のリスクが高い!?
令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下、「フリーランス法」といいます。)が施行されました。
フリーランス法は、働き方の多様化により増加したフリーランスが発注者との立場等の格差によって不当に利益が害されていることが多いことから制定された法律です。
また、フリーランス法は、「取引の適正化」と「就業環境の整備」という二つの性質をもった法律であり、公正取引委員会(中小企業庁)と厚生労働省という複数の監督官庁がある変わった特徴があります。つまり、競争法と労働法という2つの側面があります。
公正取引委員会と聞くと、独占禁止法や下請法を所管する行政庁であることから、規制されるのは大企業であり、中小企業が規制されるわけではないと思われるかもしれません。
しかし、下請法と異なり、フリーランス法は、資本金要件がなく、フリーランスに業務委託する発注事業者の全てを規制対象としております。そのため、中小企業もフリーランス法を遵守しなければなりません。
また、フリーランス法のうち「取引の適正化」に関する規制は、下請法の規制と同じような内容になっています。そのため、下請法の規制を受ける大企業は、下請法への対応の延長線上としてフリーランス法にも迅速かつ適切に対応できると思います。これに対して、下請法で守られる側の中小企業は、ゼロからフリーランス法への対応を考える必要があります。また、そもそもフリーランス法の規制を受けることやその内容を理解していない中小企業も存在するかもしれません。
そうしますと、大企業よりも中小企業の方が、フリーランス法に違反してしまうリスクが高いといえます。
また、人的資本の限界という中小企業特有の事情があり、大企業とは異なる対応とならざるを得ないこともあります。
そこで、本記事では、中小企業の立場から経営上の法務リスクとして気を付けてほしいという中小企業応援の気持ちを込めて、フリーランス法を簡単に解説いたします。
なお、フリーランス法の詳しい解説はこちらの記事 もご覧ください。
2 取引の流れからみたフリーランス法の全体像
上記のとおり、フリーランス法は、フリーランスに業務委託を行う発注事業者に対する規制を定めた法律です。
そして、フリーランス法は、フリーランスとの取引段階に応じて、個々の規制を定めています。
そのため、フリーランス法への対応を検討する際にも、取引の流れの中でどのような規制がされているかを押さえることが有益と思います。
フリーランス法の各規制を取引の流れに沿って整理すると、以下の図となります。
また、フリーランス法の各規制は、発注事業者(業務委託事業者)の体制や業務委託期間によって適用の有無が異なるものとされております。
先ほどの取引の流れに沿った各規制を整理した図に、このことを追記すると、下記の図のように整理することができます。
各規制の内容につきましては、別記事に譲ることとして本記事では取り上げませんが、上記の2つの図を思い浮かべながら各規制の内容を確認すると、イメージが付きやすいと思います。
なお、各規制の内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
3 フリーランス法への対応はどうしたら良いか?最初に行うこととは何か?
フリーランス法は、取引の全体において各規制を定めています。
そのため、フリーランス法への対応といっても、何から手を付ければ良いのか分からないかもしれません。
そこで、フリーランス法への対応として最初に行うことを提示することにいたします。
フリーランス法への対応として一番最初にすべきことは、自社においてフリーランスとの業務委託契約があるか否かを確認することです。
フリーランス法は、フリーランスへ業務委託を行う発注事業者を規制する法律ですので、フリーランスとの業務委託契約が無ければ、フリーランス法への対応はその時点では不要ということになります。
もっとも、フリーランス法で定めているフリーランスの定義は、外部から確認することが困難なものとなっております。また、可能な限り調査した結果フリーランスに該当しないと判断した場合でも、客観的にフリーランスに該当し、フリーランス法に違反することとなった場合、監督官庁から指導や勧告等を受けてしまうリスクがあります。
そのため、フリーランスの定義に該当するか否か=フリーランス法が適用されるか否かを厳密にチェックする(=ギリギリを狙う)ことは得策ではないように思います。実務的には、フリーランスに該当する可能性が少しでもある場合には、フリーランス法が適用されることを前提として対応することがリスクマネジメントとしても好ましいと考えております。つまり、明らかにフリーランス法の適用はないと判断できる場合は除いて、それ以外の場合にはフリーランス法の適用があるという前提で検討し対応するという方針が、リスクマネジメント上は安全です。
そして、フリーランス法が適用される取引がある場合には、当該取引の契約書をチェックすることになります。
統計的にみると、契約書を作成せずにフリーランスに業務委託していることが多く、契約書を作成していなかったために契約の内容が不明確でトラブルになってしまうということになります。
フリーランス法でも、第3条においてフリーランスに業務委託をした時は取引条件を明示しなければならない旨が定められておりますが、契約書を作成することによって取引条件を明示することができます。
そのため、契約書を作成しているか、また、作成した契約書に必要な事項が記載されているか、という点をチェックすることが重要となります。
万が一契約書が作成されていなかったり、必要な事項が記載されていなかったりする場合には、その時点で契約書を作成したり、または、取引条件を記載した書面をフリーランスへ交付したりするといった対応をとる必要があります。
その他、育児介護等と業務の両立に対する配慮(第13条)やハラスメント対策に係る体制整備(第14条)についても順次対応していく必要があります。
なお、これらの規制は、従業員(労働者)についても同様の規制が他の法律で定められております(育児介護休業法や労働施策総合推進法等)。
そのため、従業員についての対応も併せてチェックすることをお勧めいたします。
従業員における育児介護休業法についてはこちらの記事を、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)についてはこちらの記事をご覧ください。
4 お困りの中小企業は吉田総合法律事務所へご相談ください!
フリーランス法は、新しく施行される法律で実務上どのように運用されるか不明確な面があります。
そのため、アンテナを張って新しい情報に目を配りつつ、実務に対応していくことが望ましいです。
また、フリーランス法は、対象となる分野も、独占禁止法・下請法といった競争法と、労働基準法等の労働関係法規という異なるものを同じ法律で規制しているという複雑さがあります。
どちらか一方を専門的に扱っている弁護士は数多く存在しますが、両方を専門的に扱っている弁護士はそれほど多くないように思います。
吉田総合法律事務所の弁護士は、競争法も労働関係法規も取り扱っており、いずれにもご対応しておりますので、フリーランス法にも自信をもってご対応いたします。
フリーランス法や、フリーランスとの取引についてお困り、お悩みの中小企業は、吉田総合法律事務所へご相談ください。
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