非上場・中小企業向けの株主総会対応とは?Q&A形式で詳しく説明
上場企業の株主総会対策については、セミナーや文献などが様々あります。他方で、数としては日本で99%以上を占めるはずの非上場企業を対象としたものはあまり多くありません。
そこで、これまであまり取り上げられてこなかった非上場企業の株主総会対策について、令和2年7月16日に「非上場企業の株主総会のチェックポイント」と題するセミナーを弁護士吉田良夫が行い、好評を博しました。本稿では、そのセミナーでの内容を元にQ&A形式で、実務のコツや、法令違反してしまいがちなポイントをご紹介いたします。
株主総会の書面決議(決議の省略)・書面報告(報告の省略)はどのような場合にできますか?
株主総会は、株主に出席と準備の機会を与えるために、会社法が定める手続きに従って招集しなければなりません。
会社法が定める手続きによらずに招集した場合には、その株主総会で行われた決議が取り消されてしまう可能性があります(会社法831条1項1号)。
もっとも、株主総会の招集手続は、株主の権利利益を守るためのものですので、株主全員の同意がある場合には、招集手続を省略して株主総会を開催することができます(300条)。全員出席株主総会はこの制度により認められます。
監査報告は必要か?
株主総会の進行や議事録を検討する際に、監査報告が当然のように出てきます。
しかし、会社法上は、全ての株主総会の株主総会で監査報告が必要とされているわけではないことをご存知でしょうか。
会社法での立てつけをきちんと理解したうえで、株主総会での監査報告の適切な扱いを検討することが大切です。 例えば、株主総会を書面決議や書面報告で行う場合に監査報告をどのように扱えば良いかということは、文献にも書いていないことが多く、実務担当者が悩ませる点です。このことも、会社法での監査報告の立てつけから考えることができます。
そこで、監査報告とはどのようなものかという基本事項や会社法での監査報告のルールを確認したうえで、書面決議・書面報告の場合の監査報告の扱いを見ていきたいと思います。
定款変更を行うための手続きとは?
株式会社を設立してからある程度経つと、会社内外の状況の変化に伴い、組織体制等を変えていく必要が出てきます。
それが定款に記載すべき事項である場合には、定款を変更しなければなりません。
会社法では、定款を変更する場合、株主総会の特別決議を行わなければならないと定められています(会社法第466条、第309条2項11号)。