退職勧奨による合意退職の注意点
退職勧奨は、会社が雇用契約の社員に対し退職を促し、当該社員との交渉を経て、会社と社員の合意による退職をしてもらうもので、労務実務のなかで比較的多く見受けられます。
退職勧奨が行われる場面は概ね以下のような場合です。
・会社全体が業績不振で経営再建のために人員整理をする必要がある。
・ある部門を統廃合することになり、その部門の社員に退職してもらう必要がある。
・当該社員に業務成績不良または業務適性がない等の事情がある。
・当該社員に懲戒処分事由や解雇事由があるが、実際に懲戒処分や解雇をする前に本人に事情説明をして退職してもらう方が双方にとって良い結果になる。
懲戒解雇したら退職金は支給しなくていいのでしょうか?
懲戒解雇となった場合に当然に退職金を支給しないと考えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
確かに、多くの就業規則では、「懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。」というような規定が定められています(いわゆる「退職金減額・不支給条項」。厚生労働省の「モデル就業規則」第54条1項を参照。)。
しかし、このような就業規則の定めがあったとしても、懲戒解雇による退職者全員の退職金を当然に支給しないとすることはできません。
会社解散に伴う解雇の注意点とは?
新型コロナウイルスの感染拡大のため、経済活動が抑制されてしまい、その結果、会社を解散せざるを得ないこともあります。
会社を解散しても、清算手続きが終了するまでは会社は存続し、従業員との労働契約関係も続くことになります。
【裁判例紹介】懲戒解雇(懲戒免職)と退職金不支給
懲戒解雇を行う場合に、就業規則で退職金の全部又は一部を支給しないことを定めていたとしても、退職金の不支給が認められないことがあります。
この問題に関する裁判例は数多くありますが、直近でこの問題が争点となった裁判例を参考として以下に紹介します。
なお、今回紹介する判例は、地方公務員を懲戒免職した場合の退職手当の不支給の可否が問題となった事案であり、民間企業における退職金不支給にそのまま適用されるものではありませんので、ご注意ください。