経済的な理由から事業継続が不可能になり、会社を解散することにしましたが、従業員を解雇するにあたって注意することはありますか?
新型コロナウイルスの感染拡大のため、経済活動が抑制されてしまい、その結果、会社を解散せざるを得ないこともあります。
会社を解散しても、清算手続きが終了するまでは会社は存続し、従業員との労働契約関係も続くことになります。
そのため、退職合意などに応じてくれない従業員に対しては、解雇を行わなければならなくなり、その際の解雇にも解雇権濫用法理(労契法16条)が適用されます。
もっとも、会社の解散による従業員全員の解雇の場合、整理解雇法理によって解雇権濫用の有無を判断するのではなく、整理解雇の4要素のうち、解雇回避努力義務履行の有無と手続きの妥当性のみが問題となります。
上記を前提として解散に伴う解雇の有効性を判断した裁判例として、東京地判令和3年10月28日があります。
なお、解散ではなく、民事再生や会社再生などの再建型企業倒産手続きにおける解雇には、整理解雇法理が当然適用されます。