【2026年施行】オンライン診療が「法制化」されました ― 医療法改正のポイント ―

2025年12月に公布された医療法等の一部を改正する法律(オンライン診療に関する事項については2026年4月1日に施行されます。)により、オンライン診療は、指針(ガイドライン)ベースの運用から、医療法上に位置づけられた制度に移行しました。

本稿では、医療機関・医療業界に関心をお持ちの方向けに、今回の法改正のポイントと、現行のオンライン診療指針について、整理します。

1 医療法改正の重要ポイント

  • 医療法に「オンライン診療」が定義づけられました。
  • オンライン診療を行う医療機関はその旨を届け出ることになりました。
  • 従来の指針(ガイドライン)に代わり、法的拘束力を持つ「オンライン診療の適切な実施に関する基準」(オンライン診療基準)により運用されることになりました。オンライン診療基準は現在整備が進められています。
  • 患者がオンライン診療を受ける専用の施設として、「オンライン診療受診施設」が創設されました。医療機関ではなくてもオンライン診療受診施設を設置することができます。オンライン診療受診施設としては、公民館や郵便局、駅ナカブースなどが想定されています。

2 オンライン診療の定義

オンライン診療とは、医師や歯科医師の使用に係る電子計算機と患者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用し、映像及び音声の送受信により、医師や歯科医師と遠隔地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療です。

映像及び音声の送受信が必要であり、音声のみの通話はオンライン診療とは認められません。

なお、オンライン診療と電話等再診は異なります。電話等再診は、再診以後、医師が患者等から電話等によって治療上の意見を求められて指示を行う場合をいいますが、オンライン診療と異なり、処方箋の発行はできません。

3 オンライン診療受診施設

オンライン診療受診施設とは、患者がオンライン診療を受ける場所として提供される施設です。

従来、公民館、郵便局、駅ナカなどの施設がオンライン診療に対応するには、都道府県から診療所(クリニック)の開設許可を受ける必要があり、ハードルが高いものでした。今回、診療所の開設許可が不要となることで(但し、オンライン診療受診施設の設置届出が必要です。)、オンライン診療を受診できる場が増えることが予想され、高齢者や働き盛りの世代も、オンライン診療にアクセスしやすくなります。

なお、オンライン診療受診施設でオンライン診療を受けた場合でも、医療行為の責任を負うのは、オンライン診療を実施した医療機関の医師となります。

【オンライン診療受診施設のイメージ図】

オンライン診療受診施設のイメージ(都道府県との関係等)

※ 今回の法改正について詳しくお知りになりたい方は、下記資料などをご参照ください。

4 オンライン診療の適切な実施に関する指針

オンライン診療基準は現在整備が進められています。本稿では、現行の指針(「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下「本指針」と言います。))について解説します。

もともと、オンライン診療については、無診察治療等を禁じている医師法20条との関係で問題とされていました。本指針では、本指針にて「最低限遵守すべき事項」とされている事項を遵守してオンライン診療を行う場合は、医師法第20条に抵触するものではないと整理されています。

「最低限遵守すべき事項」は、医師と患者の関係(患者からの合意取得)、オンライン診療の適用対象、診療計画、本人確認の方法、薬剤処方、診察方法、オンライン診療時の医師や患者の所在、通信環境など多岐にわたります。主な事項としては、下記があるのでご参考ください。東京都では、指針遵守のためのチェックリスト(東京都保健医療局 オンライン診療等(医療機関の皆様向け))などを用意していますので、導入の際は確認されると良いでしょう。 なお、本指針は保険診療に限らず自由診療におけるオンライン診療についても適用されます(「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A Q1)。

指針に記載されている最低限遵守すべき事項の例

【医師・患者関係】

  • オンライン診療を実施する際は、オンライン診療を実施する旨について、医師と患者との間で合意がある場合に行うこと
  • 医師がオンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合はオンライン診療を中止し、速やかに適切な対面診療につなげること

【適用対象】

  • 初診からのオンライン診療は、原則として「かかりつけの医師」が行うこと

【診療計画】

  • オンライン診療を行う前に、患者の心身の状態について、直接の対面診療により十分な医学的評価(診断等)を行い、その評価に基づいて、診療計画を定めること

【本人確認】

  • 原則として、医師と患者双方が身分確認書類を用いてお互いに本人であることの確認を行うこと

【薬剤処方】

  • 初診の場合には、麻薬及び向精神薬等の処方は行わないこと

【診察方法】

  • 補助的な手段として、画像や文字等による情報のやり取りを活用することは妨げない。

【医師の所在】

  • オンライン診療を行う医師は、医療機関に所属し、その所属及び当該医療機関の問合せ先を明らかにしていること
  • 患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておくこと

【患者の所在】

  • プライバシーが保たれるよう、患者が物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療が行われなければならない。

情報セキュリティその他についての記載事項

  • 医療機関は、オンライン診療を計画する際には、患者に対してセキュリティリスクを説明し、同意を得なければならない。
  • 医療機関は、診療計画作成時に患者に対して、オンライン診療を行う際のセキュリティおよびプライバシーリスクを説明し、患者が負うべき責任を明示しなければならない。
  • 医師は、厚生労働省が定める研修を受講することにより、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない。

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